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知財が震災復興企業に与える影響

2011年04月30日13:29

震災の影響もあり、更新が遅れて申し訳ございません。

さて、仕事関係や海外の方から質問がとっても多い項目に、「日本の工場がこれ機に、日本以外のアジア地区に移設するのではないか?」ということです。
確かに下請けの構造化しておりティア1からティア4程度まであり、部品点数が多い自動車産業を中心として、ボトルネックとなっている部品が自動車のOEMにまで大きな影響が出ており、生産量を落としていることはご存じのこと思います。

また、情報を整理すると前記のボトルネックになっている工場は限定的で、そのような工場は他からの支援を受けて懸命に復旧しており、復旧までの期間も当初より短くなってきています。現状では、材料在庫や中間在庫の利用可能な数量から6月頃までの生産量は明確になってきているものの、地震・津波・原発・計画停電や節電要求等の複数の要因が絡み合っており、夏以降のサプライチェーン全体の先行きを不明確にしていることに前記質問は端を発していると思います。

では、他のアジア地区への移設を考える場合は、何がポイントとなるのでしょうか?
まず、(1)今から準備すると1年以上の期間が必要となりそうです。また、(2)ラインを直ちに動かすには、ノウハウを持った人材の移転や作業標準等のマニュアル等の持ち込みも必要となりそうです。さらに、(3)ノウハウや技術流出を考えると、メインプロダクツや先端製品の移転は難しそうです。その対応策としては、移転の可能性のある技術をポートフォリオとしてブラックボックス化しておくか、(4)アジア地区でも知財権にて保護しておくことが必要です。

まとめると、上記(2)から(4)の技術流出を想定し、ノウハウ管理を含めたポートフォリオとしての周到な知財戦略を実行しておいた企業のみが、企業活動の選択枝を狭めることなく、直ぐに海外への移設を検討出来ると言っても過言ではないと思います。

さらに、今回の被災により体力を削がれ、かつ、上記の知財戦略の準備不足の企業様が、M&Aのターゲットにならなければ良いのですが・・・。

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クロス戦略が使えない、異業種格闘の知財係争時代が迫っている

2010年10月09日14:16

日本国の知財訴訟件数が少ないのは種々の原因がありますが、主なものの一つに同業者間のクロスライセンス戦略が浸透していることが挙げられます。慣例行事や棚卸のように、同じビジネス分野の同士の企業が、複数から多数案件の及ぶクロスライセンスの締結を行って訴訟を回避しています。そのクロス戦略が出願数偏重の知財戦略の一因となったとも言えるでしょう。

一方、情報通信技術:ICT (Information and Communications Technology)の分野では多数の訴訟の歴史があります。ICTの発達に伴って、例えば携帯通信分野では、ネットワークと基地局そして携帯端末間ついにはユーザー・インターフェースまで至り、つまりソフトとハード、ネットワークと通信という異なるビジネスドメインの企業間の所謂「異業種格闘」の状況になりました。その結果、クロスライセンス契約には旨味がないためにライセンスフィーが交渉の基本となっており、交渉が不調となると差し止めも視野に入れた訴訟に持ち込まれます。
私も前職の携帯通信分野でこの様な訴訟や係争の渦の中で数年間を過ごしましたが、下記URLから日本ではパテント・トロールと呼ばれているpatent holdings of non-practicing entities (NPEs)から多くの訴訟に巻き込まれているのが、異業種格闘状態のICT企業だということが理解出来ます。
https://www.patentfreedom.com/research.html
まとめますと、異業種が交流せざるを得ない状況となれば知財係争を招き易く、温厚なクロス時代の終焉を意味するのです

そのような異業種の状況の拡大がすぐ傍まで近づいています。その中心が環境対応への主要技術」である『スマートグリッド』と『電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV) 』です。
この「環境対応への主要技術」に対する知財部門の準備については、次回お話致します。

また、異業種間の戦略や事例に関しては、内田和成先生の「異業種競争戦略」を読まれることをお勧めしておきます。
異業種競争戦略異業種競争戦略
(2009/11/10)
内田 和成

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廻らない知的創造サイクルは、創造→保護→『転用』 

2010年06月23日01:23

前回は、マーケティング理論の『3C』を通じて、特許は自社実施の確保と保護のためと、他社の実施を抑止するための両側面があることが、知財戦略の最大の落とし穴で危険であるということをお伝えしました。

実は、この両側面と廻らない知財創造サイクルとは密接な関係があります。「創造」から「保護」は通常の知財業務の流れですので、現状の問題点は最後の『活用』に結びついていないことだと言い切れるでしょう。尚、内閣官房 知的財産戦略推進事務局のHPでは、『活用』とは「収益」の意となっております。そうすると、自社で保護した権利が他社の製品や事業等との利用関係を生じなければなりません。寄って、特許対特許の話ではなく、以前お話した戦場のフェアゾーンと言える、自社特許と他社製品・サービスと事業の関係を出願時に考えておく必要があります。
しかし、自社のことは考えていても、上記のようにこの出願は他社のどのような製品・サービスや事業に刺さりそうか、どこを戦場でどの製品や機能を狙うのかということを1件ずつ考えていないのが現状の一般的な知財活動ではないでしょうか。
「活用」とは、広辞苑によると「活かしていること、効果のあるように利用すること」ですので、一般的な知財部門では 「活用」ではなく、『転用』 が適切な文言だと思います。さらに、狙う製品・サービス像も考えていないので、中間処理でも不確実性は更に増し、万一首尾よく権利化出来たとしてもそもそも狙っていないので、当たりそうな他社の製品等を事後にイチから探すといった活動を始めるので、正に『転用』です。これではライフサイクルの短くなっている昨今において、手遅れになってしまうリスクも高くなってしまいます。

まとめますが、「活用」をゴールにするには、 出願・権利化担当の業務タスクは決して「出願」ではなくて、1件ずつ他社の製品やサービスを想定した出願で「狙う」こと、そして権利化段階では実戦的にLock-onして「前記の狙いor他社の現行の製品・サービスに合わせ込むこと」です。 そこで、私がメーカーの知財マネージャーだった時には、1件ずつ前出の自社実施の確保と、他社の実施を抑止の両側面からの狙いを明らかにする「出願カルテ」を作成していたのですが、『活用』への効果だけでなく、代理人の方とも情報共有することで代理人とのコミュニケーションも大きく改善し、登録率の増加だけでなく中間処理の平均件数も大きく減ったという副次的効果も生まれました。
勿論、1件ずつ狙う製品・サービス像を発明者側と共有する必要がありますので、前出の出願担当者が机に噛り付いて蛸壺化する暇はなくなりますので良いことずくめです。


追伸:今日は大学院ゼミの後、我が師匠の田中義敏教授のお誕生日をプレゼントやケーキでお祝いしました。 企画して頂いたマスターの皆様、本当に有難う。
私も来月お誕生日ですので、先生からプレゼントを頂きました。
アカデミックにも皆で頑張りましょう!
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追伸2:皆様のお陰で新設から1カ月にも関わらず、”にほんブログ村:法務・知財”のランキングNo.1にして頂きました。 お礼を申し上げます。 これからも頑張りますので、宜しくお願い致します!! 本日も右上バナーをポチっとお願い出来れば幸いです。

知財戦略はマーケティング理論が通用しない程難しい 

2010年06月18日00:05

何のためにMBAに通ったのかはまた今度お話することにしますが、マーケティング理論の第1時限目に学ぶ基礎中の基礎に『3C』があります。これは、マーケティング分析に必要不可欠な3要素として「自社(Company)」、「競合他社(Competitor)」、「顧客(Customer)」をそれぞれ分けて分析を行うのですが、頭文字がいずれもCだから『3C』なのです。

例として「日産自動車さん」の知財戦略を『3C』で分析してみましょう。
まず「自社(Company)」は「日産自動車さん」ですが、「競合他社(Competitor)」は「トヨタ自動車さん」や「ホンダさん」となりますが、ここまでは簡単ですね。
では、「日産自動車さん」の知財戦略の「顧客(Customer)」はというと・・・・、
 ↓
 ↓
 ↓
 ↓
 ↓
 ↓
答えは、自社の「日産自動車さん」と、競合の「トヨタ自動車さん」「ホンダさん」の全てになります。つまり、知財戦略では、マーケティング理論の『3C』では上手く分かれてくれません。何故かというと、特許は自社実施の確保と保護のためと、他社の実施を抑止するための両側面があるからです。この両側面があるということが、マーケティング理論の基礎が通じない程に、知財戦略は複雑であり難しいことを示しています。
言い換えれば、この両側面をきちんと理解して分けて考えて考えなければ、知財戦略を語ることは非常に危険です。知財戦略の最大の落とし穴と言っても過言ではないと思いますなぜ危険なのかは、また次回お話しましょう。

知財戦略の極意をオセロから学ぶ

2010年05月28日07:10

日本の知財戦略実務の第一人者としては、「キャノン特許部隊」(光文社)の著者でもある丸島儀一先生をあげる方が多いと思います。丸島先生とは一昨年の企業研究会様のセミナーで共同にて講師をさせて頂きましたが(私は露払い役です)、2004年に某プログラムで約半年間週一回丸島先生からご指導を頂いており、戦略実務の恩師でもあります。
前記プログラムの懇親会で、丸島先生に「電子機器のような大量の特許が投下される業界で、知財戦略を成功させる秘訣はなんですか?」とお聞きしたことがあります。そのお答えが、『オセロ』だったのです。つまり、特許群の周り取り囲みを周到かつ網羅的に準備して、最後に全てひっくり返す。「空いているところを狙うのは当たり前で面白くないので、全部ひっくりかえすのが知財の醍醐味だ。」と仰っていたことが今でも思い出されます。
私の経験からも、知財戦略で競合に脅威を与えることに成功し、事業に貢献出来たパターンに共通しているのは、戦略の遂行が略完璧だった場合のみです。戦略を考える範囲や深さ、戦略の遂行が中途半端では、市場のポジションや営業上の立場関係に影響されたり、クロスライセンスやカウンター訴訟に巻き込まれたり、または、脅威には至らなかったりしてしまいます。

また、多くの企業において、知財戦略で競合をやっつけるまでは意図していない(または、意図していてもその覚悟が曖昧な)場合が殆どで、自社の出願に供する中途半端なレベルの知財戦略に留まっておられます。これでは、真の意味での三位一体の戦略や知財戦略での事業貢献などは程遠い状態です。
時折、「弊社の知財戦略はこのように頑張っておりますが、何点ですか?」等と聞かれますが、自社の出願戦略としての平時の知財戦略レベルならば60~70点程度、しかし、競合をやっつけるための競争視点の戦時の知財戦略レベルは0点、大目に見ても10点程度です。前回の記事の戦略の第一歩であるフェアゾーンも考慮されていない平時の戦略レベルでは、競争中の戦時では決してオセロは全部ひっくり返せないですからねぇ。
そして、曖昧な戦略レベルの結果、白黒のオセロの混ざった混沌とした状態が残り、使いきれない多量の出願、使った多額の経費、そして事業にも貢献出来ず、知財部門の成功体験も得られない状態が続いてしまったのが、今の日本企業の知財部門の一般的な姿だと思います。

もう一度書きますが、競争視点の戦時の知財戦略の成功のカギは、『完璧さへの追及』、そして、それに向かう知財部門・知財担当者の『覚悟』です!

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プロフィール

山崎 忠史 (渾称:ただす隊長)

Author:山崎 忠史 (渾称:ただす隊長)
会計系コンサルティングファームにて、上場企業を中心とした知財戦略支援のアドバイザリーやコンサルテーション、M&A等の知財・技術のデューデリジェンスやバリュエーション等の価値評価・価値算定の業務に従事。特に、特許情報や事業情報等から技術ロードマップ作成しての詳細なR&D分析が得意。

大手メーカーでの開発部門や知財部門のマネージャー(2社)を歴任した経験を生かしつつ、三位一体の戦略(事業戦略・技術開発戦略・知財戦略)に「競争戦略」を切り口とした新しい知財戦略思想とイノベーションの関係を、コンサル実務とアカデミックの両面から問い続ける毎日。

・早稲田大学ビジネススクール(MBA・夜間主)・市場競争戦略モジュール(内田和成ゼミ)卒
・東京工業大学 イノベーション研究科、イノベーション専攻、博士後期課程(田中義敏ゼミ)在学中
・技術士(機械部門)

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